材料を一定温度にし、圧力と吸着量の変化を測定したグラフを吸着等温線と呼ぶ。一般的に、横軸を平衡圧力を飽和蒸気圧で割った相対圧(P/P0)とし0~1の値を取る。P/P0≒1では吸着ガスは試料管内で凝縮することを意味する。すなわち、吸着等温線は飽和蒸気圧よりも低い圧力で固体と吸着分子の相互作用力が働き吸着・凝縮が始まり、気相よりも高い吸着質密度を測定したものである。また定容量法では一般的に、吸着量を V/ml(STP)g-1と標準状態(0 oC、1 atm)における気体の体積で表す。
図にIUPACで定義されている典型的な等温線を示す。それぞれ等温線の形はその細孔構造や材料表面特性により異なる。
I(a)型 :ミクロ孔のみ持つサンプル。ゼオライトなど
I(b)型 :分布の広いミクロ孔を持つサンプル。活性炭など
II型 :無孔性材料。非多孔性シリカ・磁性粉など
III型 :無孔性材料で吸着質と吸着材との相互作用力が弱い。グラファイト/水
IV(a)型 :メソ孔を持つサンプル。シリカやアルミナ
IV(b)型 :細孔径が4 nmより小さいメソ孔を持つサンプル。MCM-41など。
V型 :細孔を持つサンプルで吸着質と吸着材の相互作用力が弱い。活性炭/水
VI型 :表面エネルギーが均一なサンプル。グラファイト/Kr、NaCl/Kr
一般的に窒素やAr吸着においては、主にⅠ,Ⅱ,Ⅳ型の等温線が測定される
参考文献
F. Rouquerol, J. Rouquerol and K. Sing, “Adsorption by Powder & Porous Solid”, Academic Press, London, (1999).
Pure Appl. Chem.2015; 87 (9-10): 1051-1069