ミクロ孔の解析理論としてはt-plot, HK, SF, DR-plot, NLDFT, GCMC法などがある。t-plot, DR-plotは細孔容積や内・外部比表面積を算出するのに用いられる。HK, SF, NLDFT, GCMCはミクロ孔分布を算出するのに有効な方法である。
ミクロ孔解析理論は、細孔壁と吸着分子の距離が短いため、平面吸着やメソ孔に対する吸着理論の様に簡単ではない。細孔形状は、シリンダーやスリット型の細孔と仮定され、細孔壁は原子や吸着質パラメータを選択する必要がある。もし、サンプルが均一なモデル細孔を持つ場合、これらは真値に近い値を示す。しかし、実在する細孔は不均一なものが多く、その限りではない。これは吸着に限ったことではなく、他の粒度分布や細孔径測定法においても同じことがいえる。吸着によるミクロ孔解析は、ナノサイズ以下の吸着分子をプローブとした信頼できるミクロ孔解析法であると言える。
ガス吸着によるミクロ孔解析での実験と理論上からの推奨は、ゼオライト系には、Ar吸着等温線を87 Kで測定し、シリンダー型の細孔分布理論(SF, NLDFT, GCMC)により解析するのが良い。N2分子は強い四重極子モーメントを持つため、ゼオライトのカチオンサイトに強く吸着するといわれている。活性炭に対しては、N2吸着等温線を77 Kで測定し、スリット型の細孔分布理論(HK, NLDFT, GCMC)が良く用いられる。