体積平均径とは以下に記した[MV]値のことです。
しかしながら一般的には累積の50%粒子径をもって平均径と呼ばれる場合があるので注意が必要です。
この累積の50%粒子径は、中央値あるいは中位径と呼ぶべき値です。
以下に粉体の粒子径分布を表す特性値の代表例を示します。
[10%、50%、90%]
10%、50%、90%(μm:マイクロメートル)
一つの粉体の集合を仮定し、その粒子径分布が求められているとします。
その粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが10%、50%、90%となる点の粒子径をそれぞれ10%径、50%径、90%径(μm)としています。
特に、50%径は累積中位径(Median径)として一般的に粒子径分布を評価するパラメータの一つとして利用されます。
[MV]
Mean Volume Diameter:体積平均(μm:マイクロメートル)
一つの粉体の集団を仮定します。この中には、粒子径の小さい順から、 d1,d2,・・・・di,・・・dkの粒子径を持つ粒子がそれぞれn1,n2,・・・・ni,・・・nk個あるとします。また粒子1個当りの表面積をai、体積をviとします。
体積平均径MVは、
つまり、MVは、体積で重みづけされた平均径ということになります。
[MA]
Mean Area Diameter :面積平均径(µm:マイクロメートル)
MAは、MVと同様に面積で重みづけされた平均径で、次の式によって求められます。
[MN]
Mean Number Diameter
計算によって求められた仮想の個数分布から求められた平均径です。
この際、粒子はすべて球形と仮定しています。
[STD. DEV.]
Standard Deviation :標準偏差
次に示す式により求められる標準偏差です。
これは、測定した粒子径分布の分布幅の目安となるもので、 統計学上の標準偏差(統計的誤差)を意味するものではありません。
ここで、
d84%:累積カーブが84%となる点の粒子径(µm)
d16%:累計カーブが16%となる点の粒子径(µm)
比表面積(CS値:Calculated Specific Surfaces Area)の求め方
マイクロトラックでは、サンプルの重量は測定しないので、比表面積計などで測定される比表面積(m2/g)とは意味合いも単位も異なります。CSはマイクロトラックで求められた粒子径分布をもとに、粒子形状を球形と仮定して、単位体積あたりの表面積を計算により求めたものです。
CSの計算方法:マイクロトラックの各チャンネル番号をi、各チャンネルの代表径をdi、各チャンネルに含まれる粒子の個数をniとします。
この場合、面積平均径MA
で表されます。
このMAを使って平均面積Sが求められます。
また、このときの粒子の体積は、
従ってCSは
となります。
CSの計算方法は次に仮定した状態で求められます。
まず、右図のような、粒子の集団を考えます。
(ここで、上述したようにそれぞれの粒子は球形とします。)
また、粒子の総数をN、粒子の径をdとします。
粒子1個の表面積と体積を下記のとおり表します。
ここで、任意の粒径dと、面積平均径:MAを入れ替えると
となります。