図-2 粒子径分布表示の例
存在比率の基準としては*体積基準(体積分布)、個数基準(個数分布)等があります。マイクロトラック(レーザー回折・散乱法)では原理上体積分布を測定しています。(粒子の形状を球形と仮定し、ソフトウェアで個数基準などに換算することは容易です。) 沈降法は質量基準の測定法ですが、測定の過程で試料の密度が必要なため体積分布も得られます。動的光散乱法では、信号の相対強度として存在比率が求められるのが一般的ですが、ナノトラックに限り体積分布が出力可能です。
粒子径分布は頻度として表す場合と、累積分布として表す場合があります。累積分布には、細かい粒子の側をゼロとして右上がりのカーブとなるオーバーサイズと、粗い側をゼロとして右下がりとなるアンダーサイズがあります。
図-3 粒子径分布測定で使われる指標
粉体の大きさを、必ず分布で表さなければならないとすると不便です。このため一つの指標をもって粒度を表すことがあります。次のような指標がよく使われます。
モード径・・・出現比率がもっとも大きい粒子径チャンネル。または分布の極大値。
メジアン径(メディアン径)・・・俗にd50ともいいます。粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径のことです。この他に、d10、d90などもよく使われます。
算術平均径・・・粒子径分布の算術平均径です。マイクロトラックでは体積平均径MVとなります。各種の算術平均径の関係を以下にまとめます。
dは各粒径チャンネルの代表値、nはチャンネルごとの個数基準のパーセント、vはチャンネルごとの体積基準のパーセントです。
分布の形がまったく異なる粉体同士を、指標のみで評価するのは危険です。粒子径分布の指標を使う上で注意する必要があります。
例えば、下図を見て見ましょう。二つの分布ではモード径、メジアン径、平均径はすべて等しくなりますが、粉体としての性状はまったく異なります。
図-4 指標が同じでも性状が異なる例
一般論はこれでおしまいとします。
*体積基準(体積分布)、個数基準(個数分布)
個数分布とは顕微鏡で粒子の大きさを測定した際のイメージです。つまり粒子の個数と大きさを分布として表記する方法です。これに対し、質量(体積)分布とはふるいで粒子の大きさを測定した際のイメージです。