粉体材料の特性評価をミクロ孔から簡単、迅速、高精度にローコストで評価
BELSORP MAX Gは、BELSORP MAXシリーズの中でコンパクト、かつローコストな吸着量測定装置です。マイクロ孔、メソ、マクロ孔を持った多孔性材料および無孔性材料評価において、極低圧からガス吸着等温線測定が可能な専用機です。
本機には、測定ポート、飽和蒸気圧測定専用ポート、リファレンスポートがそれぞれ1ポートずつ装備されています。各ポートには専用の圧力センサーが搭載されており、高精度な測定が可能です。BELSORP MAX G専用の試料管を用いて、ペレット、成形体、基板、微細な粉粒体など、さまざまな材料を測定することができます。お客様のニーズに合わせて、異なるレンジの圧力センサーを搭載したBELSORP MAX G LP(極低圧)、BELSORP MAX G MP(低圧)の2つのモデルをご用意しています。
BELSORP MAX G LPおよびBELSORP MAX G MPは、いずれもターボ分子ポンプ(TMP)を搭載し、より低相対圧からの等温線測定が可能なモデルをラインナップしております。
BELSORP MAX G LP | BELSORP MAX G MP | |
ポート 1 | 133kPa, 1.33kPa, 13.3Pa | 133kPa, 1.33kPa, 133Pa |
ポート 2 | 133kPa | |
飽和蒸気圧ポート | 133kPa | |
ターボ分子ポンプ | yes |
極低圧からの正確な吸着等温線測定
BELSORP MAX G は、極低圧領域 p/p0 = 10-⁸(例:窒素、Arガスなど)から大気圧まで広範囲で、吸着等温線を高精度に測定することが可能です。
世界最高レベルの再現性;フリースペース連続測定方式 (AFSMTM)
吸着等温線測定中、液体窒素や液体アルゴンなどの冷媒蒸発による液面レベル管理は必要ありません。Microtracでは、リファレンス管(測定に使用する試料管と同径のもの)を用いて、フリースペースの時間変化を常に実測する(フリースペース連続測定方式:Advanced Free Space Measurement (AFSMTM) )ことにより、世界最高レベルの再現性を実現しました。 AFSMTMを用いることで、冷媒の液面変化だけでなく、大気圧の変化や室温変動、さらに酸素の冷媒への溶解による温度変化のような環境変化によるフリースペース変化をも考慮した吸着量評価が可能となり、より再現性の高い吸着等温線測定が可能となりました。
測定ソフトウェア;簡単な測定条件設定
測定ソフトウェアのシンプルモードにより、ユーザーが簡単に測定条件を設定できます。シンプルモードは、最低限の条件(試料情報、前処理条件、測定範囲など)を入力するだけで測定が可能で、初めて測定するユーザーに最適です。また、熟練したユーザーには、プロフェッショナルモードを準備しており、詳細な測定条件の設定が可能であるため、ユーザー独自の測定条件を作成し、詳細な評価ができます。
測定時間短縮化;ガス導入最適化(GDO)
測定ソフトウェア内シンプルモードには、過去の吸着等温線測定結果から最適なガス導入量を自動計算するガス導入最適化(GDO(Gas Dosing Optimization))機能があります。これにより、設定点を的確に短時間で測定が可能となります。
ヘリウムガス不要な吸着等温線測定 (AFSMTM2)
ヘリウムガスを使用せずにフリースペースを決定し、吸着等温線測定が可能な画期的な方法です。測定用吸着ガスを用いて、予め試料管ならびにリファレンス管のブランクのフリースペースを測定しておきます。同じ測定条件であれば、再度フリースペース測定の必要がなく、フリースペースの変化は全てAFSMTMを用いて実測、決定できるため、ブランク測定と吸着測定の間で、冷媒の液面を合わせるなどの煩雑な操作は不要となり、真密度の値を用いることで、フリースペースを決定します。これにより、ヘリウムガスを用いなくても、短い測定時間で、精度よく、測定結果を得ることができます。
小型・軽量化
構成部材の最適化を図り、小型・軽量化に成功しました。
適切な前処理
正確な吸着測定を行うためには、試料の前処理が必要です。通常、加熱、真空下で前処理を行い、試料の構造に影響を与えることなく、吸着したガスや水分子を表面から除去します。Microtracでは、2つの方法をご用意しています。1つは、BELPREP VACシリーズ(別置き前処理装置)を用いる方法です。もう一方は、BELSORP MAX G の測定ポートで専用ヒーターを用いることも可能です。極低圧からの測定ならびに大気暴露を避けたい親水性の試料等に有効です。
解析ソフトウェア:豊富な解析法
解析ソフトウェアBELMASTERにより、吸脱着等温線の表示、Langmuir法やBET法による比表面積評価、t-plot法による各細孔容積、表面積評価、DH法やBJH法、INNES法によるメソ孔解析、HK法やSF法、CY法によるミクロ孔解析、GCMC/NLDFT解析によるミクロ孔からメソ・マクロ孔の細孔構造評価など、さまざまな解析結果を得ることが可能です。
吸脱着等温線測定に必要な試料管、容積低減棒、フィルター、Oリング、キャップ、秤量台などを標準付属品としています。また、NSDカプセル、各種サイズのサンプルセル、クイックシール等も消耗品の一部です。
測定温度範囲:-10℃~70℃のウォーターバス。使用には、冷却/加熱サーキュレーターが必要です。
50℃から550℃までの試料の前処理と測定が可能です。
BELSORP次世代ソフトウェア”BELControl”は操作性を最優先に考え、労働生産性を向上させるための多くの機能を搭載しています。具体的には、操作アイコンを採用することで、より直感的な使用を可能としました。また、測定の実行、測定前の準備(ガスボンベの交換、マニホールドのパージ、液体吸着質の脱泡)等のいくつかの手順をステップごとにガイドしてくれます。このユーザーフレンドリーな機能により、経験の浅いユーザーでも簡単に利用できるようになっています。 経験の浅いユーザーには、試料情報、前処理条件の選択(外部で行う場合は、省略可能)、測定範囲の設定等、簡単な操作で測定可能です。 経験値が高いユーザーには、前処理条件、測定点、ガス導入量設定、平衡判断、リークチェックなど、ユーザーによる独自の詳細な設定が可能なため、測定ニーズに合わせたカスタマイズ評価が可能です。
BELCONTROL | ||
迅速BET評価 | あり | BET多点法による比表面積を20分以内で評価 |
Heガスフリー吸着等温線測定 | あり | 通常必須のHeガスを不要とした高精度吸着等温線測定 |
吸着速度評価 | オプション | 拡散係数、物質移動係数評価のための吸着速度測定 |
ソフトウェアは操作性を最優先に考え、労働生産性を向上させるための多くの機能を搭載し、使用方法をより簡便にしたソフトウェアとすることを重要視しています。測定の実行、測定前の準備(ガスボンベの交換、マニホールドのパージ)など、いくつかの手順をステップ毎にサポートしてくれます。このユーザーフレンドリーな機能により、経験の浅いユーザーでも簡単に利用できるようになっています。
吸着等温線は、一定温度における吸着剤への吸着量と吸着ガスの平衡圧力の関係として表されます。ガス吸着等温線(窒素やアルゴンなど)は、測定試料の比表面積、細孔径分布、細孔容積に関する情報が得られます。下記のグラフは様々な試料の吸着等温線(左図:横軸対数・右図:横軸線形)です。
比表面積は、試料のアクセス可能な表面積を指し、不均一系触媒などはその表面の反応場の量を把握することが非常に重要となります。比表面積は、BET法(Brunauer, Emmett and Teller)やLangmuir法によって算出することができます。以下のグラフは、シリカ系材料、MOF材料のBELMasterによるBET法を利用した比表面積評価の一例です。
正しい圧力範囲(BET多点法)または正しい圧力値(BET単点法)を選択すると、表面積が自動的に計算されます。さらに、当社のBELMasterでは、ミクロ孔材料に推奨されるISO 9277(別名Rouquerol-plot)に準拠したBET比表面積の評価を行うこともできます。
BELSORP MAX Gの特長は、3種類の圧力センサー(133kPa, 1.33kPa,133Paもしくは13.3Paフルスケール)を用いた広範囲な測定ができるため、クリプトンガスを用いた0.0005 m²/g までの低比表面積評価が可能となります。さらに、相対圧10-8という非常に低い圧力から大気圧までの吸着等温線測定が可能ですので、0.35~500 nmの広範囲な細孔径分布評価が可能となります。
クリプトンガスによる低比表面積評価 非多孔質金属材料、ガラス基板、フィルムなどの低比表面積材料の評価は、窒素(77.4 K)やアルゴン(77.4 Kまたは87.3 K)などのガスでは難しく。代わりに、液体窒素温度でクリプトンガスを用いて、BET比表面積を0.0005 m²/gまで測定することができます。
さまざまな業界での使用例:電池材料, 触媒, 薬 / 薬剤, 化粧品, 繊維,ポリマー, セラミックス, セメント, トナー, 色素, 陶磁器, 磁性剤, 分離膜 , 半導体(CMP), 吸着剤, MOF / PCP 等
アプリケーションデータベースに各種資料を掲載しております。
当社の測定器は、科学や研究における幅広い応用分野のベンチマークツールとして認められています。これは、科学出版物における広範な引用によって反映されています。以下に掲載されている記事をご自由にダウンロードし、共有してください。
測定原理 | 定容量式ガス吸着法+AFSM™(フリースペース連続測定) |
吸着ガス | N2, Ar, Kr, CO2, H2, O2, CH4, NH3, NO, CO, butane, and various other (non-)corrosive gases |
ガスポート | 2ポート(最大5ポート) |
測定検体数(高精度モード) | 1 検体(高精度測定) |
測定範囲 (比表面積) | 0.01 m2/g ~ (N2) 0.0005 m2/g ~ (Kr) |
細孔径分布 | 0.35 - 500 nm |
吸着等温線 | p/p0 = 10-8 (N2 @77K, Ar @87K) |
圧力センサー | 133 kPa (1000 Torr) x 3 1.33 kPa (10 Torr) x 1 0.133 kPa (MP) or 0.0133 kPa (LP) x 1 |
真空計・真空ポンプ | ロータリーポンプ+ターボ分子ポンプ |
試料管 | 標準:容量約1.8cm3 オプション:容量5cm3 他 |
デュワー瓶 | 容積: 2.6L 保持時間: 80時間 |
前処理ヒーター | 50 - 450 °C |
水槽 | -10 - 70 °C |
解析プログラム BELMaster™ | 吸着等温線, BET比表面積, Ⅰ型吸着等温線BET自動解析(ISO9277), Langmuir比表面積, BJH法, DH法, CI法, INNES法, t-plot法, Alpha-s法 |
解析プログラム BELMaster™ | HK, SF, CY法・Dubinin-Astakhov法・モレキュラープローブ法 NLDFT / GCMC |
寸法 (W x H x D) | 320 x 740 x 465 mm |
重量(メインユニット) | 36 kg |
ユーティリティ(ガス) | ガス:He、N2、吸着ガス(純度99.999%以上) レギュレータ:0.1 MPa(G)、 継手1/8" Swagelok |
ユーティリティ (電源) | 本体: AC 100 - 240 V / 850 W, 50 / 60 Hz (真空ポンプ含む) ※PCその他オプション品は含まない |
設置環境 | 温度: 10 - 30 °C 湿度: 20 - 80% RH |
ASTM compliance | B922, C110, C1069, C1240, C1274, D1993, D3663-20, D3908, D4222, D4365, D4641, D4780, D4842, D5604-96, D6556, D8325, E2864, WK61828, WK71859 |
ISO準拠 | 4652, 8008, 9277, 12800, 15901-2, 15901-3, 18757, 18852 |
USP compliance | 268, 846 |
DIN compliance | 66134 (1998-02), 66135-1 (2001-06), 66135-2 (2001-06), 66135-3 (2001-06), 66135-4 (2004-09) |
CE認証 | あり |
モニタ必要スペック | Full HD モニタ推奨 |
NLDFT法とGCMC法による細孔径分布解析
古典的な細孔分布(PSD)として有用なINNES法(スリット形状)、BJH、DH、CI法(シリンダー形状)があり、毛細管凝縮理論に基づくメソ孔の評価が可能です。また、HK法(スリット)、SF法(シリンダー)、CY法(ケージ)は、吸着ポテンシャル理論に基づくミクロ孔の評価法として使用することができます。また、DA法、DR法も細孔構造評価として細孔容積評価によく用いられています。近年、新規な細孔分布評価法のNLDFT(Non-localized Density Functional Theory)法、GCMC(Grand Canonical Monte Carlo)法は、マイクロ孔からメソ、マクロ孔まで統一した理論で計測できるコンピュータシミュレーションによるより正確な細孔構造評価法として注目が集まっています。以下の表にISO15901-2で規定されている細孔径分布理論とその適用範囲を示します。
細孔分布解析理論 | 材料表面と吸着質の相互作用 | 吸着質 | 細孔径適用範囲 |
BJH, CI, DH, INNES法 |
ケルビン式 | 液体密度 | > 2 nm メソ~マクロ孔 |
HK, SF, CY法 | Lennard-Jones ポテンシャル | 液体密度 | 0.4 - 2 nm ミクロ孔 |
NLDFT, GCMC法 | 統計的熱力学モデル | 0.4 - 500 nm 全細孔範囲 |
同じ吸着等温線から得られる細孔径分布でも、古典的な細孔分布解析と新規細孔分布解析(新規手法同士であっても)の結果は異なります。これは、それぞれの理論から得られる細孔内に充填する吸着質の圧力値が異なるためです。Microtracは、幅広い細孔径範囲において、N2 (77.4 K), Ar (87.3 K), CO2 (298 K)などの吸着質に対し、様々な材料表面や細孔構造をカバーするカーネルを提供いたします。具体的には炭素や金属酸化物の表面原子を持つスリット形状、シリンダー形状、ケージ形状の構造に適用可能です。
BELMASTERは、実験とシミュレーションの等温線を簡単に比較することができ、両者の類似性は、正しいPSD計算の指標となります。
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