動的画像解析式装置(DIA)は、粒子径分布や粒子形状を測定するための最新の粒子特性評価装置です。幅広い測定範囲において、短い測定時間で優れた精度と再現性を実現しています。マイクロトラックは、20年以上前に最初の動的画像解析装置CAMSIZERの販売を開始して以来、技術革新を続けています。
多くのアプリケーションにおいて、粒子径分布や粒子形状は、プロセスや品質の重要な指標となります。ISO 13322-2に準拠した動的画像解析では、粒子の流れをカメラシステムで記録し分析します。粒子の流れに対して片側から光源で照らし、粒子の画像を影の投影として記録します。粒子は自由落下(流動性のある顆粒の場合)、溶液循環、または空気の流れの中で測定しますが、粒子が凝集している場合には、分散処理を行ってから測定します。
通常1~5分間の測定時間で、数万~数百万個の粒子を検出することが可能です。
動的画像解析法 - 機能
静的画像解析式装置では、顕微鏡のように粒子はキャリア上に配置され撮影中にカメラに対して相対的に動くことはありません。
静的画像解析は、主に微粒子の特性評価に焦点を当てた狭い粒子径分布の測定に使用されます。一方、動的画像解析式装置は、バルク品、粉体、顆粒、懸濁液などの測定に最適です。この方法は、高いサンプルスループット、優れた再現性を特徴としています。
デュアルカメラ光学系では、BASICカメラ(赤)が大粒子を測定し、ZOOMカメラ(青)は小粒子を測定します。この2台カメラからの撮像情報を最適化することで、小粒子から大粒子まで高精度測定を実現しています。
粒状肥料サンプルについて、ふるい試験とCAMSIZER®P4の測定結果がほぼ完全に一致
動的画像解析式装置は、多くのアプリケーションのオンライン測定システムとして、プロセスに直接組み込むことも可能です。
装置の堅牢性により、生産環境で使用することができ、埃、振動、温度の変動が測定に影響を与えることはありません。
材料は自動サンプラーを介して連続的に測定装置に供給され、プロセスや製品品質の変化を実質的にリアルタイムで検出することができます。
写真は、肥料工場でオンライン運用されているシステムの例です。
(※)日本では対応しておりません。
オンラインシステムで完全に自動化された生産環境
粗大粒子を確実に計測することは、研磨剤の分析や積層造形用の金属粉末の特性評価などにおいて非常に重要であり、動的画像解析は、このようなアプリケーションに理想的です。粗大粒子が1つでもカメラで検出されると、結果にも反映されます。
最大320フレーム/秒の高速で大量の粒子を撮影することで、検出確率は非常に高くなります。この例では、異なる割合の粗大粒子が添加された金属粉末サンプルを分析しています。動的画像解析システム CAMSIZER X2 は、0.005 % の粗大粒子を検出しています。
金属粉サンプルの粗大粒子を確実に検出。金属粉は100μm以下、粗大粒子は200μm以上。表は粗大粒子の添加量とCAMSIZER X2で検出された粗大粒子の割合を示しています。
動的画像解析式装置では多くの粒子を検出することができるため、再現性が非常に高いという利点があります。
このグラフは、50μmから1.5mmまでのサイズのガラスビーズの3種混合物を5回連続で測定したものです。
1回の測定にかかった時間は約2.5分で、1回の測定で500万個の粒子を検出しています。
動的画像解析の優れた再現性
動的画像解析式装置は、約1μm以上の試料の測定に対応しています。より小さな粒子を測定したい場合は、 レーザー回折・散乱式装置が適しています。
レーザ回折・散乱式では粒子の形状に関する情報は得られず、粗大粒子の検出感度は低くなりますが、
マイクロトラックSYNCは、レーザ回折・散乱式と動的画像解析式を独自に補完する新しい測定装置です。
静的画像解析(SIA, ISO 13322-1)では、顕微鏡のように粒子が静止した状態で粒子画像を撮像します。動的画像解析(DIA、ISO 13322-2)では、粒子の流れをカメラで撮影します。動的画像解析式では非常に短時間で多くの粒子を評価できるため、測定再現性と粗大粒子の検出確率は、動的画像解析式の方がはるかに優れています。
動的画像解析式の大きな利点は、従来のふるい分けの結果と高いデータ一致性があることです。測定時間の短縮によりサンプルの処理能力が向上し、測定条件の設定により人為的なミスの影響を受け難いというメリットがあります。また、時間の掛るふるいの計量や洗浄が不要になります。
動的画像解析の下限測定範囲は~0.8 µmで、検出可能な最大の粒子は~35 mmです。各動的画像解析システムの下限はカメラの解像度によって、上限は視野の大きさ(画像対角線の約1/3)によって決まります。1台の装置に2台のカメラを使用することで、下限と上限の間に最大10,000倍差の測定範囲を実現しています。
動的画像解析は、さまざまなアプリケーションに適しています。日常的な品質管理や生産管理、また研究開発にも使用されます。医薬品、食品、肥料、砂、建材、プラスチックなど、粉体や顆粒状の製品を扱う多くの業界で使用されています。
動的画像解析の高い画像取得率(60~320画像/秒、デバイスに依る)により、非常に短時間で多数の粒子を測定することが可能です。通常の測定時間は1~5分で、洗浄やメンテナンスの手間も非常に少なく済みます。